━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2004/ 4/ 9発行 ━━ 〃 神秘!不思議!感動! メダカにみる生命の世界 <・ )))≪ 〜絵本「スイミー」によせて〜 ミ Vol.6 放流について ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目次 ◆ 1. 色々なニホンメダカ ◆ 2. ハイブリッドメダカ ◆ 3. 放流はよいことなのか ◆ 4. 放流するときは ◆ 編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ みなさん、こんにちは。みゅーです。 「神秘!不思議!感動! メダカにみる生命の世界」にご登録いただき本当に ありがとうございます。 このメルマガでは、みゅー がメダカを観察していて、「生命って面白いっ!」 と感じたことを、紹介していきます。メダカの写真や顕微鏡画像を見ながら、 生命の世界の面白さや不思議さに触れてみませんか。 レオ・レオニの絵本「スイミー」に沿って、お話しします。実は、スイミーは 生命の不思議に満ち溢れた本でもあるんです。 では、Vol.6 放流について の始まりです。 :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― ◆ 1. 色々なニホンメダカ 前回は遺伝子についてお話しました。今回はちょっと脱線して、メダカの放流 について皆さんにお願いがあります。 世界には14種類のメダカがいることをVol.2でお話ししました。ニホンメダカは 14種類のうちの1つです。実は、そのニホンメダカの中でも遺伝子の違いにより、 いくつかの型に分かれるんです。 大きくは東韓集団、西韓・中国集団、北日本集団、南日本集団です。このうち 日本に生息しているのは、北日本集団と南日本集団です。北日本集団は均一な 集団ですが、南日本集団は更に、東日本型、東瀬戸内型、西瀬戸内型、山陰型、 北部九州型、有明型、大隅型、薩摩方、琉球型の9つの型に分かれます。 http://medaka.ns-it.jp/mm/mm006-2.html 「どこがどう違うの?そんなに違うメダカなんて見たことがない。」とお思い でしょう。見た目にはほとんど違いがありません。見た目で唯一分かるのは、 尻ビレの軟条数(骨、筋)です。 この他ではタンパク質が違っていたり、染色体の形が違っています。 人間にも幾種類かありますが、人間の種別による遺伝子の違いより、メダカの 型による違いのほうが大きいのです。つまり、型の違うメダカ同士は、異星人 ならぬ異星メダカとも言えるほど遺伝子的に遠い存在なのです。 :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― ◆ 2. ハイブリッドメダカ では、遺伝子的に遠い存在のメダカ同士でも子孫を残せるのでしょうか。実は 残せるんです。1987年、北日本集団と南日本集団の両方の特徴を持ったメダカ (ハイブリッドメダカ)が、丹後・但馬で発見されています。 これは、一旦、北日本集団と南日本集団に分かれた後、地形の変化により再び 出会い、子孫を残したと考えられています。 このように遺伝子がかなり異なっていても子孫を残すことはできます。ですが、 それはニホンメダカが柔軟性に富んだ生き物だからできることなのです。 :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― ◆ 3. 放流はよいことなのか 「子孫を残せるのなら型など気にせずどんどん放流してもいいじゃないか」と 思いがちですが、決してそうではありません。 ハイブリッドメダカを例にお話しします。 北日本集団と南日本集団がいつ分れたかを推測する手段の1つとして、遺伝子を 調べる方法があります。2つの集団の遺伝子情報の異なる割合を調べれば、いつ 分かれたかを推測することができます。分かれた後の時間が長いほど、過去に 分かれたことになります。 遺伝子情報や地殻情報などを総合して、生き物の進化や地殻変動の歴史を考え ていくのです。 つまり、メダカはメダカ自身の進化の、そして地球の地形変化の生き証人なの です。これを人間の手で混ぜ合わせることは避けなければいけません。 ペットショップで売られているメダカは、出生がわかりません。飼っていたら 増えたので近くの川に流す、ということは絶対にしないでください。 :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― ◆ 4. 放流するときは でも、どうしても放流したいという方は、野外でメダカを採取して、増やして 放流しましょう。 実はこの方法も薦められる方法ではないのですが、購入したメダカを放流する よりはずっとましです。 では、なぜ薦められないかというと、人間の手で飼っているうちに、野生では なく飼われることに適しているメダカの方が生き残る可能性があるからです。 これを代々重ねれば遺伝子が偏ってしまうことも考えられます。 問題はメダカが減っていることではなく、メダカが棲めない環境を人間の手に よって広げてしまっている、ということなのです。環境がよくならない限り、 いくらメダカを放流したところで、すぐに死んでしまいます。 私たち人間には、地球にとって何が大切なのか、そしてどのような行動をとる べきなのか、しっかりと考えなければいけない責任と義務があるのではないで しょうか。 いかがでしたか?次回は「色色色−その3」です。 :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― :― ◆ 編集後記 先週はお休みしてしまって申し訳ありませんでした。今週から復活です。 新任先ではなんとか落ち着きそうです。曜日感覚も戻ってきました。 メダカの方は稚魚がたくさん生まれています。たくさんの稚魚が大きく育って くれればよいのですが。今のところ元気です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 発 行 プティ メダカ クラブ 責任者 みゅー URL http://medaka.ns-it.jp/ E-Mail medaka@ns-it.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンと関連するWebの著作権はみゅーに帰属します。無断転載・ 無断配布は絶対にやめてください。事前にみゅーmedaka@ns-it.jpまでご一報 ください。 掲載された情報は、読者ご自身の責任でご利用ください。万が一トラブルが 発生しましても、みゅーは責任を負いかねます。ご了承ください。 ∴------------------------------------------------------------------∵ このメールマガジンは、まぐまぐ(http://www.mag2.com/)のシステムを利用 して配信しています(マガジンID:0000125895)。 登録・解除は、次のURLよりいつでも可能です。 http://www.mag2.com/m/0000125895.htm 読者のメールアドレスは、発行者にもわからない仕組みになっています。 個別の解除依頼には対応できませんので、ご自身でお願いします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━